2009年05月06日

「人も歩けば郷(ごう)にあたる」信州高遠

旅行雑誌や観光パンフレットに載っている
観光名所も確かに素晴らしいですし、
それを目当てに旅することも、出掛ける動機のひとつでありました。

ですが・・・

とある民俗学者のコメントを聞いてからは、
もう一歩踏込んだ、「旅」を楽しむ事が出来るようになりました。
そのコメントとは・・・

・「旅」に出たならば、「うかうか」しててはイケナイ

・高いところから、その土地を伺え

・屋根、道、川、畑の土色、全てのものに興味を示せ


さて信州は高遠伊那に行って参りましたアタクシ、
峠から人里に出て来て、山の中腹を見ると
アタクシの心を揺さぶるような、立派な建物が見えます・・
車を止めて、あぜ道を歩いてゆくと・・・

「人も歩けば郷(ごう)にあたる」信州高遠
 藁葺きがトテモ似合う、古寺を発見!そうそう高遠といえば・・・

「人も歩けば郷(ごう)にあたる」信州高遠
 もう少し近づいてみると・・・アレアレ・・・?

「人も歩けば郷(ごう)にあたる」信州高遠
 白壁に穴が空いている・・・、藁葺きも傷んでいるのか・・・

この古寺、藤沢山 慈照寺をアタシが物珍しく、ウロチョロしていると
散歩をしにきた、地元の男性が話しかけてきてくれました。

男性 「立派なお寺(でら)だでよ、さぐら(桜)の時期は沢山、人がくるだでよ
    お兄さんは、どご(どこ)がら、いらした出よ」

私  「アッ、コンニチハ、私は群馬県高崎からきました、このお寺、立派ですね
    古いですか?、壁とかに穴が空いていますけど・・・」

男性 「昔はこの辺も、人が沢山おったでよ、藁葺き屋根、交換しだり
    お寺(でら)を大事にしてだんだがよ、いまじゃ爺と婆しがおらんでよ
    修理するものもおらんでよ、このありまさじゃ・・・
    そんでもよ、毎年の時期はなぁ、あんだみだいな人がなぁ
    北海道や鹿児島からを見にくんよ」

私  「そうですか、あ、高遠は、有名ですものね、そうそう高遠城の

男性 「あんだもんは、わしら地元のもんは見にいがんよ、混んでて
    上まではワシらは足が悪うてあるげんしね・・・」

私  「そうなんですか・・・、そう言えばこの辺は立派な蔵を持つお家が
    多いですね、みんな御大臣さんですね」

男性 「いやーおでいじんなんで、とんでもねぇよ、この辺じゃ昔から
    食糧をなぁ、やまおぐなんでなぁ、保存しどくんよ」

私  「あ、あ、そうなんですか・・・、でも素晴らしい景色ですね」


男性 「そうがね、そうがね、でもんよ、さいぎんじゃ、猿と猪がおおぐでよ
    爺と婆だけじゃ、どうにもならんだでよ、そのうぢよー年寄りはよー
    猿や猪においだされてよー、やつらに占拠されんよーハハハハ」

アタクシは男性に丁寧に挨拶をし、その場を後にすると、
男性はいつまでも、ニコニコしててくれました・・・。


最近、仕事上で「限界集落」なる言葉を知る事が出来ました。
男性との会話をしている最中、この言葉が何度も頭の中を巡りまして・・・

きっと、あの立派な古寺が修復出来ないことも、
猿や猪が住民を困らせているのも、
この「限界集落」という言葉に、通づるところがあるのだろうと
考えつつ、車を走らせるのでありました。(法定速度を守りながら)

観光名所見て、その土地のモノを食すことも
素晴らしい「旅」になるでしょう。
しかし、車から降りてみて、歩いてみて、
地元の人との何気ない会話してみると、
それにも「勝る」何かが得られる事を、
今回の旅で改めて知ることが出来ました、へへへ。




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Posted by はるなのフルーツ at 21:35│Comments(2)フルーツ日記
この記事へのコメント
いい話ですねー。
ガイドブックに載っていないところが、その土地本来の姿があるところなのかも知れませんね。
それにしても、はるなのフルーツさんの信州弁、味があるし、よく文字で表現できますね。
すごい!
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎 at 2009年05月07日 20:11
☆ 迷道院高崎さま

コメントいつも嬉しく思います。
ありがとうございます。

お褒めを頂き光栄です。
男性(お爺さん)は、トテモ親切な方で、
一生懸命、お話しをして下さいましたよ。

過疎化、高齢化は、テレビや、新聞記事でなく
実際に、「現実的」に起きている問題なのだと
改めて、感じることができました。
決して、信州の山中だけのことでなく
ここ上州にだってある「現実」でしょうね。

古寺の修復、保存、保護に関しても
県や市、教育委員会の管轄だけでは
どうにもする事の出来ない
「現実」があるのも確かでしょうね。
いやはや、なんとも・・・
Posted by はるなのフルーツはるなのフルーツ at 2009年05月07日 23:27
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    コメント(2)